@文由閣 vol.2
この度、『美術手帖』2016年11号の「ZEN特集」に東長寺の活動が紹介されました。東長寺は、1989(平成元)年、開創400年記念事業として、新伽藍を建立いたしました。禅宗の伽藍配置にならい、7つのお堂が適所に配置され、現代建築の合理性と歴史的な寺院建築の落着きをあわせ持つ寺となりました。この計画にあたっては、「現代の寺、都市の寺」であることをふまえ、人が集い、仏教にふれる場となることを念頭におきました。そこで人々が集まる場として設けた講堂は、竣工以来、現代美術を中心とする展示で、海外の作家を含め、これまでにない多数の意欲的な作家を紹介して参りました。現在ではこの講堂は、永代供養付き個人墓の納骨堂として生まれ変わっておりますが、新伽藍建立以来、「お寺は文化の発信地」という考えは、今でも当山運営のコンセプトの柱となっております。
昨年2016(平成27)年、伽藍の道向かいに建立した檀信徒会館は、『「文」化の「由」縁になる』ことを願い「文由閣」、命名しました。様々な建築上の工夫を凝らしましたが、これは「近代技術による伝統様式の追求」をテーマに建設いたしました。それは建物工事に留まらず、天蓋や鏧子(けいす)、五具足(ごぐそく)などの仏具などもこのテーマに沿っています。
「寺院も建物も工芸も、その伝統をそのまま引き継ぐのではなく時代の移り変わりによって新たな解釈を加えていくべきだ」という当山住職の思いを、日々の私たちの活動の中心においています。涼仁拝